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Matthias Rößler - 21. May 2018

特許侵害は世界中で起きている

欧州知財弁理士、アーヘン工科大学知的財産法コース講師のレースラーです。

ヨーロッパ最大の日本人街デュッセルドルフで約20年間、日系企業を含む世界の発明家達のために知財保護活動をしています。このブログでは、欧州知財の様々な話をドイツから発信していきます。


法的背景

特許の概念は、技術的発明を第三者が不当に使用するのを保護することです。特許保護を済ませた発明を第三者が不当に使用した場合、法廷争いの可能性があるはもちろんですが法廷外で和解することもあります。まず特許侵害の場合、管轄する裁判所はそれぞれの国の裁判所となります。ドイツでは地方裁判所がその役割を果たします。特許またはライセンス所有者は基本的に次の権利を保有しています。

  • 疑わしい製品の撲滅
  • 損害賠償請求
  • 原産地、流通経路、販路に関する情報、および問題となる製品の複製に関する情報開示
  • 不当に複製された製品のリコールと削除
  • 判決公表

一般的に、特許権者は損害賠償請求をする際に3つの選択肢があります。侵害当事者の償還請求、逸失利益の支払い請求、適切なライセンス料の支払い請求です。

法廷外の和解

特許権者が自らの発明が第三者によって不当に使用されている事実に気付いた場合、照会請求するか書面で警告文を送付するという2つのパターンがあります。

2つとも法廷外和解ですが、照会には法的形式の仕様がないため特許権者から第三者への単純な要求にすぎないということです。これを弁理士や弁護士名のもとコミュニケーションを活用しスムーズかつ効果的に行うというものです。

一方、警告文によるコミュニケーションの場合、特許権者はこの警告文を第三者に転送する権利も有します。書面による警告文を一旦送付することで、侵害製品が生産されるのを多方面から直ちにストップさせる等の効力も期待できるでしょう。

書面による警告が送達されると、受取人は警告文に返事をするか、法的支援を誰かに求めながら手紙に反応する可能性があります。この流れによって、さらなる生産や注文受付を抑制することができます。

しかしこうした手段を用いても問題が解決しない場合もあります。その場合は民事訴訟によって法的措置を執行するというプロセスに移ります。その訴訟の舞台が、ドイツでは弊所karo IPの所在地であるデュッセルドルフにある地方裁判所となります。


裁判所の措置

特許侵害訴訟が発生した場合、地方裁判所の管轄下で執行されます。処理時間が8〜14か月と比較的速いからこそ低コストで済むため、地裁での係争を望む特許出願人も一定数いるようです。このように訴訟を選択する場合でも、いずれにせよ訴訟前に証拠を確認し、専門家に評価してもらうことが重要です。ドイツの法律ではこの時点ですでに弁護士の参加が義務付けられているとされています。

このように、特許権者およびライセンス所有者は特許侵害訴訟を起こす権利を有しています。少しでも疑問がおありの方はいつでも弊所ジャパンデスクまで日本語でご相談ください。

Matthias Rößler:



マティアス・レースラー弁理士(ドイツ、および欧州)。karo IP知財法律事務所の創立パートナー。2003年弁理士登録。アーヘン工科大学卒業、機械工学専攻。2006年法学修士号取得。

主たる取り扱い分野は、膨大な特許ポートフォリオの管理・代理人業務、欧州特許庁や特許裁判所における二国間訴訟の代理人業務。弁理士のみならず法律家としても、日系企業を含む多国籍案件を多数担当。

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