3Dプリンターによる新世代の試作品
産業界では、3D印刷技術がすでに何十年にもわたって使用されています。 また、3Dプリンターを個人的に使用する人や、このサービスを提供する印刷店も増えてきました。
3Dプリンターへの関心は、特に使用方法が改善し、安価に購入できるようになったことから、近年ますます高まっています。 その使用範囲は、模型、芸術品、既製品の複製、スペアパーツの製造までと、非常に広範です。
3D印刷の基盤となっているのは、いわゆるコンピューター支援設計(CAD)ファイルです。 CADファイルは、3Dスキャンまたは特別なプログラムを使用してデジタル設計されています。 これにはすべての関連情報が含まれており、いわば製造される製品の設計図といえます。
3D製品複製による権利侵害
3Dプリンターを使用する場合、法律上の問題が浮上します。特定の形状、機能、または製品全体が法的に保護されいることから、これらの複製または製造が権利を侵害する可能性があることに留意する必要があります。 特許、実用新案、デザインおよび商標等の産業財産権は、その所有者を他者からの商業的使用から保護します。
3D製品が明らかに個人により製造された場合、特許、商標、意匠権を主張することはできません。 しかし明確に個人の使用のために製品が複製された場合でも、著作権の遵守が必要です。 著作権は、すべての美術作品に自動的に発生します。
3Dプリンターを商用利用する際の注意
3D製品を商業的に製造または使用する場合は、使用の前に既存の所有権が侵害されないかどうかを十分に確認する必要があります。特許または実用新案は技術的発明を保護します。 意匠権は、3Dで作成された製品の外観、形状を保護します(2018年4月3日のブログをご参照ください)。 さらに、法的に保護されている文字、図形または商標法によって保護されている形状への侵害も考えられます。これらの産業財産権は、3Dプリンターを使用して商業的に製造されているスペアパーツにも当てはまります。
次のブログで、さまざまな産業財産権が3D印刷技術によってどの程度影響を受ける可能性があるかについて詳しくご説明します。
Matthias Rößler:
karo IPパートナーである、マティアス・レスラーは、RWTHアーヘン大学で機械工学を学び、2003年以来、ドイツおよび欧州特許弁理士として従事しています。特に大規模な特許ポートフォリオの管理、特許庁および特許裁判所における二国間の法的有効性手続きに関するアドバイスを行っています。