ブロックチェーン関連の特許
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンとは、お金、株式、その他の資産等の取引情報が暗号化され、一つのブロック単位にまとめられ、それが前後に繋がり、鎖状になったデータセットのことです。トランザクション(コンピュータ システムにおける一連の取引処理)は最初から最後まで永続的かつ効率的に記録することができます。
トランザクションが実行されると、トランザクションおよびユーザーの双方の状態を検証するアルゴリズムを使用するコンピューターのピア・ツー・ピア ネットワークに送信されます。トランザクションを確認した後、他のトランザクションと組み合わせて新しいデータブロックとし、既存のブロックチェーンに追加します。これでトランザクションが完了したことになります。これらの各データセットあるいはブロックには、前のブロックのハッシュ関数、タイムスタンプ、およびトランザクションデータが含まれており、これが連続してデータをチェーンのように連結させているのです。
ブロックチェーン技術は、その応用範囲が非常に広いため、各業界から注目を集めています。これは、すべての技術分野において情報をネットワーク化し、記録する新しい方法を切り開く可能性があります。例えば、ブロックチェーン技術によってサプライチェーンの追跡可能性を高めることができます。
ブロックチェーン関連の特許出願
ブロックチェーン技術の特性を考慮すると、アルゴリズムに基づく特許であることから、ソフトウェア関連の特許と比較することができます。このため特許を取得するには、新規性、進歩性という要件みならず、一定の技術的性質および技術的寄与が備わっていることが重要となります。
欧州特許庁によると、ブロックチェーンは暗号作成技術、コンピュータ、ネットワークに関するものであり、前記の要件を満たし、かつ技術的な効果が認められた場合には、基本的には特許取得可能だとしています。
特許出願件数の増加
ブロックチェーン分野における特許出願件数は2013年(72件)から増加し続けていますが、この5年間でその数は急増しています。2018年には、世界各国で4,673件の出願がされました(出典:IPlytics)。
ブロックチェーン関連の特許出願は、スタートアップのみならず、既存の技術系企業も多く出願しています。地域別で見ると、米国での出願が一番多く、次いで中国と英国が続いています。
ブロックチェーン技術は、知的財産権の管理という点でも大きな可能性を秘めています。一つのアイデアとしては、すべての産業財産権を「ブロックチェーン上」に記録することです。これについては、機会を改めてブログでご説明したいと思います。
ブロックチェーン関連の発明を保護できるかどうかの判断は容易ではありません。当所弁理士は特許のみならず、代替保護案も考慮に入れご相談に応じます。またブロックチェーン技術関連企業にとっては、特許ポートフォリオの構築も戦略的に大切です。是非ご相談ください。
Justus Kreuels:
karo IPパートナーである、ユストス・クロイエルスはミュンヘン工科大学およびアーヘン工科大学で機械工学を学び、2011年にドイツドイツ弁理士、2012年に欧州弁理士の資格を取得しました。特にドイツにおけるモバイル通信、モノのインターネット(IoT)、ロボット工学分野での知的財産権に関するアドバイスを行っています。