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Justus Kreuels - 20. July 2020

ドメイン名の保護

ドメイン名自体が商標を用いて保護できることは、あまり知られていません。ドメイン名、つまりホームページアドレスの所有者は誰であるか、という問いは、広義には商標分野に属します。ドメイン名の保護には、文字商標が適していますが、文字商標に加え文字図形商標もドメイン名の保護においては有効なケースがあります。特に、ドメイン名を構成する文字図形商標において文字要素が強い場合がこれに当たります。

また、文字商標は文字や数字を組み合わせた用語やスローガンを保護する一方、文字図形商標はレイアウト(フォント、色、配置など)を含めた用語やスローガンを保護します。ドイツ特許商標庁(DPMA)は、保護対象のドメイン名が他の商品・サービスと区別されるかを審査します。

ドメイン名のhttp://、https://、wwwなどの構成部分や末尾のトップレベルドメイン(.de、.com.、.net、.org、.eu )は保護対象外です。当所のドメイン名(www.karo-ip.de)を例に挙げると、第二レベルドメインである「karo-ip」のみが文字商標の保護対象となります。

ドイツ特許商標庁で商標登録されるドメイン

ドイツ特許商標庁で商標出願をする前に、専用オンラインデータベースで検索し、商標登録を希望するドメイン名が既に他社の商標として登録されていないかを調べます。ドイツ特許商標庁は登録前にこの調査をすることはなく、先に登録した商標権者が後の商標権者に対して異議申立をすることにより、同じドメインが存在したことが発覚することが多いからです。

ドイツ特許商標庁が審査をし、商標法8条に基づき拒絶理由がないと判断すれば、ドメイン名は該当する商品やサービスの商標登録クラスに登録されることになります。

絶対的な拒絶理由とは、例えば、「patentanwalt.*」などの説明文的なドメイン名です。このようなドメイン名は登録できますが、商標として追加的に保護することはできません。

登録から3ヶ月以内に先願の商標権者からの異議申立てがされない場合、後願の商標権者は当該商標の権利者とみなされます。商標の保護期間は、出願日から10年です。この期限後、さらに10年間延長することも可能です。

商標保護の一部としてドメイン保護

ブランディング活動の徹底そして一貫性という意味で、ドメイン名が社名もしくは商品名を含むことが重要であることが多いと言えます。また社名または商品名が商標登録してある場合は、追加的な手続きを必要とせずにドメイン名にも自動に保護効果を及ぼします。

商標権者は同一または類似のドメイン名に対して、他社の登録商標と区別がつかない可能性がある場合は、異議申立てをすることができます。一般的に「ブランド優先」と考えられています。

ドメイン名の登録の前に、第三者の商標権を侵害しないためにもドメイン名の検索をすることを強くお勧めします。商標権とドメイン名の登録タイミングを同時に行ったり、最初に商標登録をし、商標出願公開直前にドメイン名も登録する等の戦略を考える必要もあります。また戦略の一環として、LinkedIn、Facebook、中国のWeChatなどのソーシャルネットワークでも同一名のアカウントを保護することも大変有効です。

一方、第三者による商標出願は、ブランド名開発を妨ぐために行われるケースも多々あります。こうした出願者は金銭目的のためであり、このような行為は中国で特によく見られます。

当所の弁理士は、クライアントのドメイン名が第三者によって侵害されていないかどうか等調査します。また、商標またはドメイン名をドイツで登録するか、あるいは世界登録するか等のあらゆるご質問にお答えします。

Justus Kreuels:



karo IPパートナーである、ユストス・クロイエルスはミュンヘン工科大学およびアーヘン工科大学で機械工学を学び、2011年にドイツドイツ弁理士、2012年に欧州弁理士の資格を取得しました。特にドイツにおけるモバイル通信、モノのインターネット(IoT)、ロボット工学分野での知的財産権に関するアドバイスを行っています。

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