標準必須特許(SEP)
技術の標準化
近年、IT、電気通信、医療技術、車両技術の技術分野における異業種間での技術活用が増加しています。
他のシステムやインターネットに接続されたインテリジェント、ネットワーク化された製品分野では、グローバルに有効な標準規格の開発が必要です。標準化された技術を使用することで、新規参入が増加し、新製品や新技術導入への受容性が高まります。このような規格は、製造者の異なる製品とアプリケーションを相互接続するのに必須です。標準規格は国際標準化組織によって設定されます。特許付与された発明が規格の本質的な部分である場合、この技術を使用することなく、規格を満たすことができなくなります。
こうした動向は特に電気通信分野において顕著であり、スマートホームや製造でのネットワーク化(Industry 4.0)を可能にするInternet of Things(IoT)分野で、ますます多く標準規格が策定されています。
SEPのFRAND宣言に基づくライセンス
SEP(標準必須特許)の利用を希望する製造者は、標準規格である関連技術のライセンスを得なくてはなりません。一方、標準必須特許の権利者はFRAND(公正、合理的、非差別的な条件)に基づき、利用者にライセンス供与する義務があります。
SEPのライセンス供与に関しては、適切なFRANDに基づくライセンス条件を巡って裁判に発展することが少なくありません。合意に至らない場合、新製品の市場投入が不可能になったり、あるいは、製造の停止を余儀なくされることもあります。
FRANDに基づくライセンスの目的は、すべての市場参加者に標準必須特許のライセンスを供与し、統一されたフレームワークを保証することです。結果として、イノベーションの普及に寄与し、消費者の便益向上に繋がります。
コネクテッドカー
自動車業界でも、製品、デバイス、およびアプリケーションのネットワーク化が進むにつれて、ますます多くの通信技術が車両に搭載されています。多くの場合、これらは多数の標準必須特許によって保護されています。
この紛争で有名になったのは「ノキア、ダイムラー紛争」です。この裁判では、SEPの所有者が、チップ製造者、無線ユニット製造者、または自動車製造者のうち、どの製造者がライセンスを取得するのかを、自由に選ぶことができるかが争われます。この紛争は、製造者サプライヤーにとって非常に重要な意味を持ちます。欧州裁判所は、早急な決断を迫られています。
当所の弁理士は、このようなネットワーク技術の市場投入の開発と準備に関してもサポートします。是非お問合せ下さい。
Matthias Rößler:
karo IPパートナーである、マティアス・レスラーは、RWTHアーヘン大学で機械工学を学び、2003年以来、ドイツおよび欧州特許弁理士として従事しています。特に大規模な特許ポートフォリオの管理、特許庁および特許裁判所における二国間の法的有効性手続きに関するアドバイスを行っています。