ソフトウェア開発に関する契約
ソフトウェア開発のアウトソーシング
このテーマでよくある質問は以下の二つです。依頼者は、いかに独自開発ソフトウェアが第三者の手に渡たることを阻止できるか。そして、依頼者は、いかに開発者または開発チームが、クライアントの利益のために、完成までの長い期間モチベーションを高めておくことができるか。
ソフトウェアに関する権利
依頼者は、基本的に、独自開発ソフトウェアに関する権利を有することを契約で定めておかなければなりません。雇用期間中に開発が行われた場合、開発は雇用関係の枠内での成果であるため、その開発は基本的には雇用者に属します(2020年4月ブログ「職務発明とは」 をご参照ください)。
しかし、会社特有の問題の解決のためにソフトウェアを開発する場合、そしてそれを社外で開発する場合は、事前に契約書を作成することをお勧めします。当所の経験では、請負業者は、開発されたソフトウェアのコンポーネント(モジュール、手順、機能等)を他社に対しても使用できると考えていることが比較的多いためです。
ソフトウェアコンポーネントの二次利用
状況にもよりますが、依頼者がソフトウェア開発者に対し、開発されたソフトウェアモジュールを二次使用オプションとして許可することは、両社にとって戦略的な利益になることがあります。というのは二次利用のオプションは、モチベーションを高める効果があり、創造的で良い結果を生み出すことが多いからです。
定義された領域の枠内で、二次使用を許可する契約書は、日常業務において両当事者の利益になることが多々あります。というのは、実際に開発されたソフトウェアモジュールが、このプロジェクト以外で使用されているかどうかを確認することは、そもそも困難または不可能であるためです。
この意味で、依頼者の目的と直接競合するような使用は禁止されることを契約で取り決める必要があります。開発者は、当該プロジェクト外でソフトウェアモジュールを使用することができることを契約に取り入れる代わりに、契約書で罰則の取決めを定めることに賛成することが多い、というのが当所の経験です。
開発期間中の情報交換
契約当事者間で十分に情報交換をすることにより、関係者全員が開発の進捗を共有することができます。このようにして、プロジェクトの過程での問題やプログラミングの種類などに関する問題を早期に特定して処理することができます。
特許または実用新案による保護
ソフトウェア開発に、特許または実用新案として保護可能な側面が含まれている場合の対処法は異なります。依頼者は、ソフトウェアベースの発明に関するこれらの知的財産権を保護しなければなりません。
これについても、できるだけ早期に契約を交わす必要があります。特許または実用新案の出願を行う前に、知的財産権を取得できるかを現実的に評価するには、慎重に検討する必要があります。当所は、この分野でも豊富な経験を有し、契約条件の策定についてもアドバイスいたします。お気軽にお問合せください。
Justus Kreuels:
karo IPパートナーである、ユストス・クロイエルスはミュンヘン工科大学およびアーヘン工科大学で機械工学を学び、2011年にドイツドイツ弁理士、2012年に欧州弁理士の資格を取得しました。特にドイツにおけるモバイル通信、モノのインターネット(IoT)、ロボット工学分野での知的財産権に関するアドバイスを行っています。