AI関連特許の保護
特許権と人工知能(AI)
現在注目されているAIは、主に高い計算能力を持ち、大量のデータに基づいて反復的なタスク(特定の仕様に従ったデータセットの並べ替えや比較など)を処理するソフトウェアが主流になっています。よく知られている例としては、ナビゲーションシステム、機械翻訳、音声認識ソフトウェアがこれに当たります。
しかし、コンピュータプログラム自体に特許権を与えることができないため、コンピュータ利用発明は限定的にしか特許で保護することができません。ブログ記事「ソフトウェア特許出願」(2018年10月30日)もご覧ください。
AIの保護性
現行法によれば、アルゴリズムの特許性は認められていないため、AIとして特許を取得することはできません。例えばソフトウェアがトレーニング、モデリング、テストされるようなAIベースの製品の開発段階でも、特許保護は不可能です。
AI産業用アプリケーション、その技術、またはAIベースの製品としての最終製品のみが特許を取得できます。特許保護の取得には、自動運転の制御などの技術的手段を使用して特定の技術的問題解決に寄与することが条件となります。
技術的性質および先行技術
特許は、新規性および進歩性を有し、産業上利用可能な発明であれば、すべての分野における技術に付与されます。これによると、AI関連発明には以下の問題が浮上します。
特定の問題を解決するためにモデリングされたツールとしてのAIは、技術的な要件を満たしていません(技術的な問題は、技術的手段によって解決されなければならない)。さらに、AI技術の発展は急速であるため、すぐに先行技術となってしまい、進歩性の要件を満たすことができません。
弁理士によるIP戦略
弁理士は、特許出願時に各コンピュータ利用発明に対する特許分野を特定し、製造者および開発者にアドバイスします。発明の特許による保護が不可能である場合、弁理士は、著作権および競争法による保護等、代替保護手段を考案し、クライアントにアドバイスをします。
WIPOにおけるAI動向(2019年)
最近の調査 によると、1950年代にAIが出現して以来、WIPOでは340,000以上のAI関連特許出願が行われ、約160万件の文献が確認されています。その大半は2013年以降に出願されたものです。このように、将来の技術としてのAIは、産業財産権にも多大な影響を及ぼしています。
Justus Kreuels:
karo IPパートナーである、ユストス・クロイエルスはミュンヘン工科大学およびアーヘン工科大学で機械工学を学び、2011年にドイツドイツ弁理士、2012年に欧州弁理士の資格を取得しました。特にドイツにおけるモバイル通信、モノのインターネット(IoT)、ロボット工学分野での知的財産権に関するアドバイスを行っています。